県庁所在地にある温泉街にビックリ!
博多・熊本出張からひと月も経たない晩夏のある日、僕にまた最強戦読者大会の取材指令が下った。しかも、何と場所は前回の福岡県と関門海峡を挟んだ隣県の山口だという。
「そんな近所なら、一度にこなせれるようにしてくれればいいのに…」
普通のビジネスマンならこんな不平の一つも出てきそうなところだが、僕にとっては全く逆。確かに東京からは相当の遠距離ではあるが、仕事で遠出ができるほどうれしいことはない。もちろん遊びに出かけるわけではないけれど、ちゃんと仕事さえ済ませてしまえば、アフターの楽しみはそれこそ山だくさんだ。
今回の出張先は、冒頭にも触れた最強戦読者大会を開催するお店「神ヅモ」。パッと見、何と読むのかと思えば、これが「ゴッヅモ」―ゴッド・ヅモ、要するに読んで字のごとく「神のツモ」である。日本に麻雀荘は数多あれど、これほどインパクトのある屋号もそう多くはないだろう。一度耳にしたらなかなか忘れられないネーミングではないか。
そんなお店、「神ヅモ」があるのが山口市湯田温泉。ン? 山口「市」だって? 山口市といえばれっきとした県庁所在地。そんな大きな町に地名にまでなっている温泉街があるのか?
山口へはこれまで何度か行ったことはあるものの、湯田温泉は初めての地。温泉街にあるフリー雀荘というのが麻雀ジャーナリストとしての好奇心をくすぐったこともあって、僕は早速本州最西の地・山口への旅程の計画に入ったのだった。
山陽新幹線・新山口駅で山口線に乗り換え、3両編成のローカル列車に揺られること20分で湯田温泉駅に到着した。旧式の駅名表示板がいかにも風情に富んでいて、旅愁を感じさせる。もうひと駅先が山口駅というから、マジで県庁所在地に存在する温泉の街だ。日本でもこうしたケースは非常に珍しいらしく、それだけでネタに困りそうにもないが、まずはいつものように駅周辺の探索を始めた。
駅を降りてド肝を抜かれそうになったのが、大きなキツネのモニュメント。左下の写真がそれだが、駅周辺には全く高い建物などがないだけに、その大きさというか威容というか、とにかくデカさには驚くばかりだ。
湯田温泉は室町時代に開湯したというわれる温泉だ。そのいわれは、傷を負った白キツネが毎夜池に浸かっているのを寺の和尚さんが発見し、その池に手を入れてみると、何とこれが温かい。これはと思いずっと掘ってみると、これが温泉だったという「白狐伝説」である。
江戸末期には、後に明治維新の立役者となった志士たちが夜毎この地を訪れ、議論を交わしたという話も伝わっており、歴史的な名所でもある。さらには、ここは僕が高校生時代に思いっきり傾注した詩人・中原中也の出身地でもあるのだ。
旅と歴史をこよなく愛する僕にとって、今回の出張は特別なものになるかも―そんな大きな期待を抱きながら、僕はまずは取材地である「神ヅモ」を目指して歩を進めたのだった。
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