27.ブクロのゴージャス配牌

ブクロは男の場として感じさせものがあり、俺をとどまらせた。だが、第2ラウンドに選んだ雀屋は疑問が残った。

いちおう「アリアリの1‐2‐4、祝儀1枚500P」の店に飛び込んでみたものの、卓が悪かったようだ。相手は、一見普通の親父のようだが、三者三様の癖のある打ち手のようだ。俺にとっては、初めて経験するタイプといえる。麻雀打ちはより多くの引き出しが大事というが、俺の引き出しはまだ少なかった。俺はいきなり未知の世界に飛び込んだ気分だった。

前局、俺は場の状況も確認せず軽率なリーチをしてしまったが、どうにか親番をキープでき次局が始まる。ドラはである。

癖のあるオヤジ3人を強いと判断した俺は、第一打から緊張した。そんなとき、対面の親父が「兄ちゃん、第一打から長考かい!? あんまり考えるとチョー後悔するよ!」という。南家も「なんだか早そうだな。早くキックした方がよさそうだねえ」といった。さらには対面が「兄ちゃん、親が切らねえと始まんねえよ」という。俺は慌てて第一打を切り飛ばした。これが運命の始まりだった。

長考しただけ俺の配牌は悩ましかった。ダブがトイツでドラが受け入れられるのターツ、マンズがイーペーコ含みのアンコでが1枚だ。を切ればチートイの1シャンテン、だがダブが仕掛けられれば簡単に親マンが見える。少なくともゴッパ―だ。また、チャンタやトイトイと仕掛けてもいくらでも手役の絡まる手牌だ。

ゴージャスな配牌に判断が鈍った。そして、あおられて切り出したのがあわやのであった。理由は単純、ただ一番右端にあった牌をつまんでしまったのだ。

俺は心の中で「やっちゃったか!」と思った。せっかくもらったゴージャス配牌がどこにいくのやらの選択を自らしてしまった。それを見た南家が「親が最初からダブかい!じゃ鳴いとこうか!」と、ポンした。そして南家が切ったを、北家が「俺も鳴いとこうか」とポンした。

親の俺が長考してダブを切り出したことが、回りを警戒させ早仕掛けさせたようだ。しかし、俺はダブ切りを前向きに考え、二人が仕掛けたなら俺は意地でもメンゼンで仕上げてやろうと思い、対面が切ったをスルーした。やっとまわってきた1巡目のツモはだった。今度はチャンタとポンテンの見える1シャンテンとなった。俺はダブを切った以上、ポンテンはありえない、と心で誓った。

そんな3巡目だが、すでに南家が2フーロ、北家は3フーと、俺の親の終焉も近いことを感じさせた。と感じた3巡目に、対面がを捨てた。俺は、これもまた微動だにせず初志を貫いた。その我慢のご褒美なのか4巡目のツモはだった。

ひとまず待ちの三暗刻のテンパイが入った。瞬間、四暗刻を考えた俺はひとまずダマにする。が、の出アガリなど支度もなく、また仮にを重ねても苦しいと判断した俺は、次巡に「後悔先に立たず!リーチ!」と、四角いエメラルドグリーンへ男の航海に旅立った。

斉藤勝久プロフィール

生年月日
1969/1/28生
血液型
A型
キャッチコピー
『麻雀ばか一代』
所属団体
日本プロ麻雀協会所属
■雀王戦Aリーグ
■雀竜戦B級選手
第1話
大阪へ
第2話
熊谷リベンジ
第3話
ブラフ
第4話
モーニング
第5話
大宮から浦和へ
第6話
浦和の洗礼
第7話
煉獄の街・浦和
第8話
親父のるつぼ・浦和
第9話
男は西川口流
第10話
スリー入りの洗礼
第11話
西川口流フリテンの罠
第12話
西川口流まみれの日
第13話
ノガミ進出
第14話
ノガミのママ卓
第15話
親父の言葉
第16話
ノガミの特殊ルール
第17話
ノガミでトリプル
第18話
親父斬り
第19話
洗練のブクロ
第20話
こまいブクロ麻雀
第21話
悪夢のブクロ
第22話
悪夢のブクロ 2
第23話
甘美なブクロ
第24話
ブクロの癒し
第25話
ブクロの桃源郷
第26話
オヤジ都市ブクロ
第27話
ブクロのゴージャス配牌
第28話
後悔先に立たずリーチ
第29話
血染めの赤牌
第30話
血染めの本流
第31話
癒しの時間
第32話
泡銭は泡へ返す



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