25.ブクロの桃源郷
ブクロは俺にとって住み心地の良い街となった。この旅を始めたころの想いはどこかへ、俺はブクロに留まりたくなっていた。麻雀はもちろんだが、遊びに事欠かかない街に居心地の良さを感じ、長居したくなっていた。
麻雀ぶちとして憧れ、当初の目標にしていたジュク。それはいつのまにかどうでも良くなっていた。ジュクを皮切りに全国のぶちてと戦う麻雀行脚はブクロに飲み込まれようとしていた。
腹ごしらえの後、サンシャインの展望台で目星をつけた辺りをうろついてみた。まずは今宵、落ち着ける河岸を確認しよう。そう、あくまでも確認だ。
目星を付けた俺は、今宵の闘牌に向け、体を癒しにサウナに向かった。ブクロでたまったアカを落とそうとアカスリを頼んだ。すると中途半端にかわいい感じのおば様が登場した。ドキッとしながら俺は半立ちとなった。そんな状態のままアカ落としをしてもらう。
普段なら痛いはずのアカスリだが、徹満明けだけに体が過敏に反応し、俺は堪らなくなっていた。昨晩、稼いだ貯金もあるので、別のスチームサウナに移動することにした。そこでもマンガン級のアガリをボディーアタックし、気分上々のまま俺は目星を付けた雀屋に向かった。
俺は道場破り気分で門を叩いた。
「すいませ〜ん! すいません! 初めてなんですけど出来ますか? すいませ〜ん」
俺は大声を張り上げた。「おいおい。聞こえてるよ! うるせーな」。奥から声がした。メンバーらしきオヤジが現れ「お客さんですか、いらっしゃい」と言ってルール説明を始めた。
「アリアリの1−2−4です。祝儀1枚500。大丈夫ですか?」。俺が「すぐ入れますか」と聞くと、「はい、今始まったところで、すぐに入れますよ。親番ですがどうしましょう」と、卓に案内された。
その場所は東4局の親番、10巡目だった。点棒は2万点。俺は内心入らなければ良かったかと思った。が、手牌を見るとすでに
・
待ちのタンピンテンパイ。ドラを確認すると
であった、この手には関係ない。
特に手変わりも期待できないので、俺は「リーチ」と言った。そんな矢先、対面が
をアンカンした。新ドラ表示は
で、しかも対面は追いかけリーチをしてきた。いきなり俺の鼓動が激しくなった。ドキドキしながら辺りを確認する。と、
が2枚切られていた。また、南家がドラの
をポンしていた。
軽い気持ちでご案内され、軽い気持ちでリーチをしてしまった。俺は思わず「やっちまったか」と、ボソっともらした。最高のリラクゼーションのあとに待っていたのは、いきなりの修羅場であった。