22.悪夢のブクロ 2

南3局0本場、最後の親番にかけた俺。自ら火を起こし、その火の中に飛び込んだ。こんな不調の時の常套手段である。必死のテンパイ、必死のレンチャン。それが媚薬となり、なえていた麻雀にエレクト効果をもたらすものだ。俺はそんな麻雀がたまらない。だから麻雀には生理的に夢中になれるのかもしれない。だが、それも麻薬となるときもある。

「さて今回のこの仕掛けはどう出るか」と、思いながらの自慰行為だが、どうにかこうにかテンパイまでこぎつけた。役はない。ここまでは功を奏した感である。そして13巡が過ぎレンチャン目前まできた。そのときである。オリている風に見えた若い兄さんから14巡目にリーチが入った。そしてオヤジ二人も追っかけリーチを掛けてきた。

俺は「マジっすか!?」と思わずもらしてしまった。親のレンチャンというゴールを目前にいきなり障害が現われた。なんだよ、合わせ打ちしてるから、てっきりオリてるんだろうと思っていた。しっかりみなさん手をつくってテンパイを入れていた。甘く考えていたのは、やはり一人ダンラスの俺だけだったようだ。

一見、トイトイに見える俺の新ドラを明カンした3フーロだが、中身はション牌のをヘッドにして、(ドラ)という形のケイテンだ。のどちらかが重なればトイトイになるが、14巡目という状況では役付きのテンパイはさほど期待していなかった。

すでに俺の頭の中は一人テンパイで、次局に向かっていた。その苦しいケイテンに対して3軒リーチだ。しかも、よりによって俺の一発目のツモはアガれない。さてさて何を切る?

全部がアタリ牌に見える。久しぶりの修羅場だ。こんな時は「1枚通れば2枚通る」の発想での2枚落としか。それともドラのマタギパイか。マタギを切るくらいなら堂々とドラを切り飛ばしケイテン全ツッパ、これで散るなら納得だ、と、3人の捨て牌を凝視する。

その中で選択したのが、アガることよりシノギきることとのトイツ落とし。単騎待ちでテンパイが維持できるという理由だ。また、この巡目のリーチなら、大概がリャンメン待ちないしは切りきれないターツ待ちと考えたからである。この選択が見事に的中し、無事流局となって、親番をどうにか維持した。首の皮一枚つながった。

そして迎えた南3局1本場、ドラ。軽い配牌をもらいメンゼンで4巡目にすんなりの3メンチャンとなるタンピンをテンパイした。ドラはない。2巡まわして7巡目にリーチ。タイミングがドンピシャで一発ツモ、裏も1枚乗って6千オールの2枚オール。

それから俺はエレクトし、トップ目もロックオン。どうやらあの仕掛けは媚薬だったようだ。苦しかったブクロの麻雀だが、俺は脳内麻薬の力により攻略の糸口をつかんだのかもしれなかった。ノガミに続いてブクロも攻略か!? 俺はますますエレクチオンしていた。

斉藤勝久プロフィール

生年月日
1969/1/28生
血液型
A型
キャッチコピー
『麻雀ばか一代』
所属団体
日本プロ麻雀協会所属
■雀王戦Aリーグ
■雀竜戦B級選手
第1話
大阪へ
第2話
熊谷リベンジ
第3話
ブラフ
第4話
モーニング
第5話
大宮から浦和へ
第6話
浦和の洗礼
第7話
煉獄の街・浦和
第8話
親父のるつぼ・浦和
第9話
男は西川口流
第10話
スリー入りの洗礼
第11話
西川口流フリテンの罠
第12話
西川口流まみれの日
第13話
ノガミ進出
第14話
ノガミのママ卓
第15話
親父の言葉
第16話
ノガミの特殊ルール
第17話
ノガミでトリプル
第18話
親父斬り
第19話
洗練のブクロ
第20話
こまいブクロ麻雀
第21話
悪夢のブクロ
第22話
悪夢のブクロ 2
第23話
甘美なブクロ
第24話
ブクロの癒し
第25話
ブクロの桃源郷
第26話
オヤジ都市ブクロ
第27話
ブクロのゴージャス配牌
第28話
後悔先に立たずリーチ
第29話
血染めの赤牌
第30話
血染めの本流
第31話
癒しの時間
第32話
泡銭は泡へ返す
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