21.悪夢のブクロ

なぜだ……。重い雰囲気のまま続く半荘。ブクロでの麻雀に俺はペースをつかめずにいた。気がつけば南3局、最後の親番。持ち点は8800点。かろうじてマンガン放銃は耐えられるという状況だった。特に大きい放銃をした記憶もなく、なぜこんなに点棒が減ってしまったのか、俺は理解できずにいた。

東1局から振り返ってみた。たしか5局連続して放銃した。それは間違いない。その5回の最高点は2000点だった。そのあと1局休んで、また2000点を打った。そのあとザンキューに放銃。トータルですでに7回放銃している。

そんな中、くだらないジーギャグを聞いた。「おーっと、安めのサンキュウーベリーマッチョ」と、定番すぎるネタを披露するオヤジ。俺の気持はまた萎えてしまった。完全にペースを崩されている。俺の苦手なダマテン地獄。すっかり安い展開となり、地味な局が続く。

ガチンコ好きで荒れ場を得意とする俺は、いかにして得意な展開に持ち込めばよいか、短い時間だが必死に考えた。すると「先手必勝」という言葉が脳裏に浮んだ。とっさに俺の体が反応した。手の中にあるアンコのが1枚、目の前を通りすぎた瞬間、頭の中では当然しない行為だと考えていたが、俺は「カ〜ン!」と口走ってしまった。

見事に新ドラ表示牌がはもろノリした。だがしかし「黄金バット」である。役が見えないのだ。救いはまだ2巡目だということ。今からどんな手に仕上げるか試行錯誤する。考えられるのは手の中にあるを重ねてバックドロップか。それとも強引なホンイツ、またはチャンタか、定番の手役トイトイか。とにかく今の段階では夢が広がる。

と、考えていた瞬間にが重なり役がひとつ見えた。さらに手の中のが重なりトイトイが濃厚となる。そんな矢先に、ドラを使ったのカンチャンタ―ツにを引き入れる。本来なら鬼ヅモと言いたいところだが、トイトイを狙いたいときにはアリガタ迷惑だ。

さて、気持はすでにトイトイを選択しているだけに、このアリガタ迷惑メンツは早めに見切りたい。が、よくよく考えれば、バックドロップが決まればドラ5でハネマンある。心が揺れた。

先手必勝。攻めに転じた仕掛けをさらに続けるため、出たらポン、見たらポンであっという間に3フーロの4頭ダテ。しかもが頭で役無しのドラまたぎのフリテン待ち。ベストはドラを重ねてトイトイテンパイ。都合の良い事ばかり考えた仕掛けに、他の3人も字牌を切りきれないようだった。

ひとまず作戦成功か。連荘できると思ったその14巡目、若い兄さんが「リーチ!」といった。続けてオヤジ二人も追っかけリーチ。俺は冷静を装っていたが、今までダマテン麻雀だった連中だけに驚愕し、内心ではビビリマクリだった。当然のように頭をすぎったのが「もう〜おわりーだね〜♪」のフレーズだった。俺はいまだブクロ麻雀を攻略する糸口をつかめずにいた。

斉藤勝久プロフィール

生年月日
1969/1/28生
血液型
A型
キャッチコピー
『麻雀ばか一代』
所属団体
日本プロ麻雀協会所属
■雀王戦Aリーグ
■雀竜戦B級選手
第1話
大阪へ
第2話
熊谷リベンジ
第3話
ブラフ
第4話
モーニング
第5話
大宮から浦和へ
第6話
浦和の洗礼
第7話
煉獄の街・浦和
第8話
親父のるつぼ・浦和
第9話
男は西川口流
第10話
スリー入りの洗礼
第11話
西川口流フリテンの罠
第12話
西川口流まみれの日
第13話
ノガミ進出
第14話
ノガミのママ卓
第15話
親父の言葉
第16話
ノガミの特殊ルール
第17話
ノガミでトリプル
第18話
親父斬り
第19話
洗練のブクロ
第20話
こまいブクロ麻雀
第21話
悪夢のブクロ
第22話
悪夢のブクロ 2
第23話
甘美なブクロ
第24話
ブクロの癒し
第25話
ブクロの桃源郷
第26話
オヤジ都市ブクロ
第27話
ブクロのゴージャス配牌
第28話
後悔先に立たずリーチ
第29話
血染めの赤牌
第30話
血染めの本流
第31話
癒しの時間
第32話
泡銭は泡へ返す
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