20.こまいブクロ麻雀
東京にたどり着き、最初に選んだ街・上野。ここで当面の生活を凌げる小遣いをいただいて、次に選んだ街が池袋だった。そこで入ったのが今いる雀荘。ここはプロがいる店だという。
しょっぱなのメンツはオヤジ2人に若い奴。この中に麻雀プロが1人いる。有名なプロとのことだが、顔を見てもわからない。俺はそんな世界もあるのかと思った。どんなに凄い奴なのか楽しみにしながら卓へついた。
俺は西家スタート。ドラは
。東家は小太り系のオヤジ。南家にリーマンオヤジ、北家が若い奴だ。さっそく俺は先制攻撃を仕掛ける。上家の第一打をポン。オタ風の
だった。下家の
にも喰いつき2フーロ。俺の手牌はバラバラだ。さて今からどんな手を創ろうか。トイトイ、チャンタ、ホンイツ……。バラバラだが俺は前向きに考えていた。
すると対面のオヤジがいきなりうなりだした。10秒、20秒と過ぎていく。やっと切り出した牌は
であった。俺は「おいおい、2巡目から
を切るのに何を長考するんだ」と思った。
そんなオヤジのテンポに合わせて、リーマンオヤジも動作が遅くなり長考する。俺は自分のペースを作るために先制攻撃したはずなのだが、気が付けばオヤジ2人のスーパースローモーションな展開になっていた。
そんなペースに惑わされないよう俺は「トイレ代走!」と、席を立つ。トイレで顔を洗い、また戻る。まだ1巡しかたっていなかった。こんな牛歩戦術は初めてだ。基本的にサクサクと8ビートで、そうリズムで打ちたい俺は、このペースに戸惑いを感じていた。
こんな勝負に俺はあらためて麻雀の奥の深さを実感する。またまた対面のオヤジが大長考。そして
を叩きつけるように切り飛ばした。すっかりリズムを崩した俺は、結局、その局は控える方向に切り替えた。
次巡、親がツモった
を叩きつけて「ツモっ!」と言った。俺はあわてて親の手を見る。親は「700オール」と得意満面の笑みを浮かべた。「驚かせるなよ。ただのピンヅモじゃねーか! しかも![]()
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の3メンチャン!」と、俺は「それをダマでアガるのか、終わったなオヤジ」と思った。
この程度ならマークする必要もなさそうだ。「さて、グリグリ押しまくり、攻めまくってやるぜ」と思った次局、4巡目、俺の手はタンピン系の好形の1シャンテン。気合も入る。
次巡、俺は
をツモ切る。と、対面のオヤジが「ロン!」と一言。そして手を開け「1500は1800」と言った。「カー!!打っちゃたよ。まあしょうがねえ」と点棒を払う。改めて次に期待をかけて配牌をとる。またなかなかの好配牌だ。
と
がトイツでドラ入りメンツがすでに出来上がっている。
気分よく
と
をポンできて、4巡目に3900をテンパイ。次巡、またまたツモ切りすると今度はリーマンオヤジが「ロン!1000は1600」と言った。これで俺は3局連続の放銃。小さいとはいえサンドバッグ状態だ。
俺はこのダマテン地獄に不安を感じながらも、「俺流の麻雀で一発ドデカイ花火をあげてやる!」と思いながら、「さあさあ、次々」と言いながら卓上のボタンを誰よりも早く押した。