17.ノガミでトリプル

上野にたどり着いてから、なかなか勝機を見出せず負け続ける俺。そして、そんな状態ということもあり、フトコロは正気じゃない。とうとう麻雀屋巡りも夢半ばにして達成できず、この地で果てるのか。

バカ勝ちした西川口で調子づき、無駄に果てたことが悪かったのか。どうやら勝利の女神を怒らせてしまったようだ。とにかくここで踏ん張ってみるか。ダメならダメで出直せばいいことだ。なんて思いながら、今宵はゼロになるか体力の続く限りぶち続けようか、と覚悟した。

やぶれかぶれの思いを募らせ、臨んだ半荘が始まる。オレは北家スタート。東家スタートが好きなオレは控える麻雀に決めた。なぜならこんな時、北家は前に出て行くと不思議と負ける。経験上、できるだけ控えるのが賢明なのだ。競馬で言うなら「最後の直線まで足をタメる」ということか。

ドラは。オレの配牌は役牌のがトイツにドラメンツが出来上がり、なかなか軽そうな2シャンテン。4巡目には早くもがトイツ、ソーズがのカンチャントイツ、役牌のがトイツの1シャンテンだ。

一見軽そうだが、仕掛けてもメンゼンで仕上がってもカンチャン待ちかバッタ待ちの苦しい最終形だ。しかも赤のあるこの店では、は場のなかで重要な牌である。ということもあって、カンを引いたとしても素直にのボシャではリーチはかけにくい。赤を引いたらリーチといけるが…。

なんて考えていたら親が5巡目にダブをポン。そしてを捨てる。俺も思わず鳴きかけたが、じっとこらえた。オレは基本主義として、テンパイするときに待ちが選択できる仕掛けは調子が悪い時はやらないようにしている。ましてや目先の安上がりはしないよう心掛けている。オレは親に仕掛けられないようにのトイツ落としをする。そして、じっくり構えた。

親が12巡目にをツモり「ニーロクオール」と言った。がアンコの待ちだ。そう、オレがのポンテンなら、どっちを切ってもアタリだった。やはりまだ態勢が悪いようだ。

次局、牌勢も悪く7種8牌でリャンメンタ―ツなしの配牌だ。前局、前に出て親に打ったほうがオレの体勢は上がったのか。まあこの配牌なら前に出られないだろう。字牌を絞りながら気長にオリるかと考えていた。

するとツモが字牌の嵐で無駄ツモなし。5巡目に字一色チートイツの1シャンテンだ。がトイツ、風牌は全部トイツとなる。ただ残念なことにがすでに2枚ずつ切られ、小四喜や字一色は間に合わなかった。目指すは字一色チートイツの役満だ。冷静を装っていたオレだが、心のなかは気合万点。

7巡目、残る字牌のを重ねて待ちのホンイツホンローチートイの仮テンが入る。そう、後はを引けば役満だ。はまだ場に一枚。そんなときが対面の親父から出る。オレは余裕の見逃しだ。「を引け〜!」と心のなかで叫ぶ叫ぶ。9巡目に親がを切ってリーチ。続けて上家の兄さんが切ってリーチ。オレは役満を断念し、ツモ切りリーチで追っかけた。

「ツモ〜!!!」

一発ツモのを叩きつけ、裏ドラ表示を見るとがいた。オレは思わず指を折り、「6千、1万2千の3枚」と申告した。それから大爆発する俺。こうして二人まとめて飛ばして余裕のトップ。やっと片目が開いた。どうやらノガミも俺を拒否しているわけではなかったようだ。

斉藤勝久プロフィール

生年月日
1969/1/28生
血液型
A型
キャッチコピー
『麻雀ばか一代』
所属団体
日本プロ麻雀協会所属
■雀王戦Aリーグ
■雀竜戦B級選手
第1話
大阪へ
第2話
熊谷リベンジ
第3話
ブラフ
第4話
モーニング
第5話
大宮から浦和へ
第6話
浦和の洗礼
第7話
煉獄の街・浦和
第8話
親父のるつぼ・浦和
第9話
男は西川口流
第10話
スリー入りの洗礼
第11話
西川口流フリテンの罠
第12話
西川口流まみれの日
第13話
ノガミ進出
第14話
ノガミのママ卓
第15話
親父の言葉
第16話
ノガミの特殊ルール
第17話
ノガミでトリプル
第18話
親父斬り
第19話
洗練のブクロ
第20話
こまいブクロ麻雀
第21話
悪夢のブクロ
第22話
悪夢のブクロ 2
第23話
甘美なブクロ
第24話
ブクロの癒し
第25話
ブクロの桃源郷
第26話
オヤジ都市ブクロ
第27話
ブクロのゴージャス配牌
第28話
後悔先に立たずリーチ
第29話
血染めの赤牌
第30話
血染めの本流
第31話
癒しの時間
第32話
泡銭は泡へ返す
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