14.ノガミのママ卓
長かった埼玉での旅打ち、どうにかフトコロを維持したまま「のがみ」こと上野にたどり着いた。麻雀打ちの集まる街として憧れていたところだ。が、雀屋の数の少なさには驚かされた。昔ほど盛んではないようだ。あこがれていただけに寂しいかぎりだ。
そんななか、上野をさ迷いやっと見つけた雀屋でルール説明を受ける。一般的なアリアリの1・1-3、祝儀は1枚0.5だ。特に変わったところはない。さっそく始まったばかりの卓にご案内される。
どんな奴らが今回の相手か見渡してみる。上家は妙に小手返しばかりしてカチャカチャとうるさいお水系の若い男。下家にちょっとお上品に見えるママ風の女性。対面もブランド品をまとった小奇麗なマダム風の女性だ。こんな華やかなメンツは初めてだ。さすが上野、大都会である。
俺は卓に着き「よろしくお願いします」と挨拶する。下家のママが「お兄さん、お手柔らかにね」といったら、若い男が「こんなところに来る最近の若い奴はガツガツしているから、ママさん気を付けてね」という。俺はちょっとムカツいたが、愛想笑いを浮かべて「いえそんなことないですよ」と、ごく当たり前というか、ありきたりの会話を返した。
ドラは
。ママの風である。いきなりママが東家の第一打の
をポンした。さっそくだが、俺は様子見も兼ねて役牌を絞る、絞る、絞る……。絞る牌に手が詰まってきた俺は、ママの切った牌の筋で役も付きそうにない
を切った。「チー」といわれた。ドラの
がアンコなのか。それとも他の役牌がアンコか、ピンズのホンイツか。
今回は様子見だ。しっかりオリようと思っていた。4巡目、対面のマダムがション牌の
を切ってリーチと来た。俺もあわせて
を切った。すると東家が「ポン」。なんとダブ
を二鳴きである。誰が本物なんだろう? 迷って鳴くくらいだから親が一番安いのかもしれない。
マダムはション牌のダブ
を切り飛ばすくらいだから、メンタンピン系で三色か。オタ風から仕掛けたママはドラの
を持っていそうだ。いろいろ考えてしまう。この二人の現物を切ってオリるのが、この局は賢明かもしれない。そう考えて俺は二人の現物の
を切った。すると「ロン! 兄さん悪いね!18000の1枚」と、若い男がいった。
なんとママとマダムはダミーだった。ふだん慣れないオリをしたもんだから刺さってしまった。しかもみごとに大当り。これぞ「ザ・オリ打ち」だ。
こんなビハインドを追って始まる「ノガミ麻雀」に、俺はかなり悪い予感を感じていた。