11.西川口流フリテンの罠

西川口の「やりたい放題劇場」二日目。今日の主役は俺だ、と思いながら、 先日の不完全燃焼の「サモード麻雀」(3着モードのこと)を振り返り、今日の戦略を立ててイメージトレーニングする。

原因を改めて考えてみる。が、さして反省点が思い浮かばない。それは、俺が一番上手く、まともな麻雀を打ったと思っているからだ。結果、少しフトコロがさびしくなったが、負けたと思っていない。えてして麻雀打ちとはそんなものである。俺はその典型かも知れない。勝利の美酒は記憶に残り、負け戦は記憶から消され、語られないのだ。

そんなこんなで、懲りずに麻雀屋に向かう。看板の灯りはまだ燈されていない。階段は暗く、ますます入りにくい。メンツはいるのだろうか。昨日の3人がいれば再挑戦したい。入り口の扉からうっすらと光がこぼれていた。戸を開けると「イッパーツ!!」と大きな声が響いた。卓は立っているようだ。

いらっしゃい。昨日の兄さんだね。そう斉藤さんだ」とエプロンのおじさんが出てきた。「すぐ出来るかい」と尋ねる。「大丈夫だよ。始まったとこだから」と。俺は卓を見た。メンバーらしき人はいないようだが、スーと手を上げる者がいた。「どうぞこちらへ」と昨日の若い兄さんが言った。なんだやはりメンバーだったのか。そう思いながら案内された。

東2局、南家で持ち点は2万5000点。トップ目2万7000点だ。ドラは南で俺の風だ。それが配牌に二つ並んでいる。それともトイツだ。第一ツモでが重なり、狙いはチートイツかと思いきや、親が2巡目にドラを打った。

俺はすかさず「ポっポン」と言った。ホンイツトイトイドラ3が頭をよぎる。悪くてもドラ3をアガりきってやる、と思っていた。すると、やはり親から4巡目に切りリーチが入る。

ここはイケイケとばかりに俺は「ポン」と言った。弱気ならアンパイとしてトイツ落としだが、今日の俺は完全にイケイケだ。だが、親リーチはさすがに怖い。通りそうなハイを捨てながらトイトイないしはドラ3のテンパイを目指すことにした。

なかなかテンパイが入らない。なんて簡単に仕掛けられると思っていたのだが、すでに4巡が過ぎようとしていた。そこにやっとを引き入れてイーシャンテン。とにかくテンパイだけでもと思った瞬間、が重なりのシャボ待ちになった。

その時、親がをツモ切る。俺は「ヨッシャー」と叫んだ。が、よく見てみると俺の河にがいる。あわてて俺は「なんだ!それ通るの」といって誤魔化した。オヤジは「ビックリしたな。アタリかと思ったよ。兄さん驚かすなよ」と。そして俺はテンパイをはずしのトイツ落とし。その瞬間すぐにを重ねて張り返す。俺の河を見ると3打目にがいる。またまたフリテンだ。

そこにを引き、泣く泣く俺は待ちにしてトイトイを断念する。すぐに下家がを切る。俺は自分の下手さ加減に苦渋の思いで「ロン」といった。すると「兄さん、それチョンボやで、第1打見てみ」。なんとまたまたフリテンで、とうとうロンしてしまった。しかし、このあと俺はチョンボヅイタのか、カッパギまくったのだった。

斉藤勝久プロフィール

生年月日
1969/1/28生
血液型
A型
キャッチコピー
『麻雀ばか一代』
所属団体
日本プロ麻雀協会所属
■雀王戦Aリーグ
■雀竜戦B級選手
第1話
大阪へ
第2話
熊谷リベンジ
第3話
ブラフ
第4話
モーニング
第5話
大宮から浦和へ
第6話
浦和の洗礼
第7話
煉獄の街・浦和
第8話
親父のるつぼ・浦和
第9話
男は西川口流
第10話
スリー入りの洗礼
第11話
西川口流フリテンの罠
第12話
西川口流まみれの日
第13話
ノガミ進出
第14話
ノガミのママ卓
第15話
親父の言葉
第16話
ノガミの特殊ルール
第17話
ノガミでトリプル
第18話
親父斬り
第19話
洗練のブクロ
第20話
こまいブクロ麻雀
第21話
悪夢のブクロ
第22話
悪夢のブクロ 2
第23話
甘美なブクロ
第24話
ブクロの癒し
第25話
ブクロの桃源郷
第26話
オヤジ都市ブクロ
第27話
ブクロのゴージャス配牌
第28話
後悔先に立たずリーチ
第29話
血染めの赤牌
第30話
血染めの本流
第31話
癒しの時間
第32話
泡銭は泡へ返す
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