6.浦和の洗礼

この浦和という街、大宮ほどネオンはない。だが県庁のある西口は栄えていて、遊び人心をくすぐる。

西口は俺にはコジャレすぎていて、ブラつくには眩しすぎる。いっぽう麻雀屋のある東口は、公営ギャンブル「浦和競馬場」があるだけに、こちら側に降りる人間たちはバクチ好きの遊び人が多いようだ。そこには公営がある街独特の雰囲気があった。

俺も足に身を任せて降りたところが東口だった。そして気が付くと、この麻雀屋でブっている。しかも、ここの麻雀打ちたちは、なかなかやってくれる。

俺にとっては意外と厳しい街になるかもしれない。俺の雀魂を熱くし、燃えさせてくれる。

そんな浦和の戦いだった。まだ3半荘目というのに疲れはピークである。それはなぜなのか。2半荘が終わり、成績は2着、3着だった。だが、じつはいまだにヤキトリなのだ。それが疲労を増幅させているのか。

浦和流なのか、この店の流儀なのかわからないが、毎局参加で何でもアリアリのスピード麻雀。これに毎局あわせるのも大変で、俺のスタイルに反する。オリてオリて、手が入ったら責めようなんて思っていたら、いつまでも後手を踏むことになる。

そんな3半荘目、南入り南場の俺である。相も変わらず、5巡目、下家と対面が2フーロで、親に不気味な1フーロが入っている。またまた俺には切り遅れとなるションパイのがあった。

つきもの」なんて格言のせいで、ついつい残してしまう。格言も良し悪しだ。また防戦で、こんな状況でのベタオリほど気を使うものはない。親はすでにテンパイ気配で、タンヤオドラドラ以上か。他の二人は2フーロで、バック仕掛けなのか、トイトイか三色か、まだノーテンなのか判断しかねる。

ノーテンなら俺はベタオリで絞り倒し、せめて下家と心中したい。二人ノーテンを狙うのが俺にできる最良の対処法だろうと思い、なれない完全ベタオリ体制にはいる。

だが考えれば考えるほど、俺の手パイは切れないパイだらけになってゆく。流局まで3巡となり、苦渋の選択でアンコの南に手をかけて1巡しのぐ。「ヨッシャー、これで流局だ」と思いながら、3枚目のを切って安堵に浸る。その瞬間、「ロン!ハイテイドラ3」と親マン宣言。

こんなオリ打ちをした俺は、その日、親父たちに打たれるままのサンドバッグとなった。浦和の洗礼は生煮えで苦かった。

斉藤勝久プロフィール

生年月日
1969/1/28生
血液型
A型
キャッチコピー
『麻雀ばか一代』
所属団体
日本プロ麻雀協会所属
■雀王戦Aリーグ
■雀竜戦B級選手
第1話
大阪へ
第2話
熊谷リベンジ
第3話
ブラフ
第4話
モーニング
第5話
大宮から浦和へ
第6話
浦和の洗礼
第7話
煉獄の街・浦和
第8話
親父のるつぼ・浦和
第9話
男は西川口流
第10話
スリー入りの洗礼
第11話
西川口流フリテンの罠
第12話
西川口流まみれの日
第13話
ノガミ進出
第14話
ノガミのママ卓
第15話
親父の言葉
第16話
ノガミの特殊ルール
第17話
ノガミでトリプル
第18話
親父斬り
第19話
洗練のブクロ
第20話
こまいブクロ麻雀
第21話
悪夢のブクロ
第22話
悪夢のブクロ 2
第23話
甘美なブクロ
第24話
ブクロの癒し
第25話
ブクロの桃源郷
第26話
オヤジ都市ブクロ
第27話
ブクロのゴージャス配牌
第28話
後悔先に立たずリーチ
第29話
血染めの赤牌
第30話
血染めの本流
第31話
癒しの時間
第32話
泡銭は泡へ返す
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