4.モーニング
この埼玉は大宮に降り立ってすでに3日。
サウナ暮らしは板についたものの麻雀は厳しいことばかり。手持ちの金はどうにか片手をキープしているがジリ貧の状況。そろそろ吹いてもよいころだが……。と、今日もパチンコ屋の開店待ちをするごとく、麻雀屋にきっかり9時に出勤。
どうしてこんな時間かって、俺はもう負けられないから。熊谷を皮切りに始まった旅打ちが大宮で力尽きるなんて悲しすぎる。このまま田舎に帰るわけにはいかない。卑怯なようだが、夜番のメンバーや徹夜で打ち続ける客達が疲れるだろう時間帯を狙ってこの時間なのだ。
男気から外れる行為だが、背に腹は変えられない。これも一つの作戦。と、俺自身にいい聞かせて店に入る。すると1卓だが場が立っている。すぐ入れそうでよかった。
俺はすぐできるかをメンバーに聞いた。主任らしき男が「メンバー2入りですのですぐご案内できます。状況は?」と大きな声で明るくいった。本走中のメンバーが「東3局、21000点持ちの親番1回ですが、これでよければすぐにご案内できます」という。微妙なところだが、待つのは嫌いなのでゲーム代を払って卓につく。
座った瞬間、2軒リーチが入る。これは参った。安全牌が一枚もない。メンバーが目一杯に手を広げ、中張牌であふれたブクブクの手牌。場の状況もわからないまま手ナリで進めゼンツッパ。結果、ダブロンである。「やばいよ! やばいよ! マジかよ」と動揺する俺。
すると「高めだ! おら! ウラドラ!」と気合の入った声。表示牌に手を置き、何か呪文を唱えながらパイをすりつけて裏ドラをめくった。一方は「カッー、乗らねーよ、セサ(1300)、裏はサービス」と。そしてもう一方は「ちっくしょう! マンガンだけ。兄さんツイてるね」と。
何がツイてるのかわからないが、俺は額の汗を拭いながら「フー」と安堵のため息。ダブロンでも飛ばずに済んだ。今日の俺はツイてるかも。次局に期待して配牌を取る。
なんとダブリーだ。しかも789のサンショク確定のカン
待ち。前局に真っすぐいったのは間違いではなかったようだ。
「ヨッシャー!一発ツモ!ウリャー、ノッター!倍マン」
俺はクールに「フッ、祝儀は2枚だけ…」。そう、俺はこの日、このままビッグウェーブに乗り吹きまくったのであった。