3.ブラフ
雀屋めぐりから10日たち、ようやく熊谷を後にする。ポッケに握り締めた金も地場で飲み食いした割には減ってはいない。次はどこに行こうか……。
目の前に現れたオレンジ色の電車に飛び乗る。それは高崎線で、鴻巣(こうのす)、上尾(あげお)と抜けると、高層ビルと明るいネオンが見えた。ここがいいかもしれないと思い下車してみる。埼玉では最大の商業都市、大宮だった(現さいたま市ですね)。
改札を出ると右には高層ビル、左にはネオン。やはり麻雀ぶちはネオンだろうとそちらの方に進む。すると左に「北銀座通り」、右に「南銀座通り」と看板があった。俺は本来「東」が好きなのだが、旅人なら北だろうと「北銀座通り」を選ぶ。そこにはなんとお風呂屋さんが並んでいた(注:もちろん気持ちのいいお風呂やさんです)。
ここに雀屋はあるのか探してみる。どうやら無さそうだ。客引きの兄さんに雀屋はあるかと尋ねてみた。
「北銀にはないね、南銀だよ。ところで兄さん麻雀やる前にゲン担ぎに一発ツモらない? 大2だよ」
俺は「ゲン担ぎ」と「一発ツモ」という言葉に惹かれて、70分コースに入った。さてすっきりしたところで南銀へ。
その店は「リッチマン」というアリアリのピン雀だった。レートはピン、ウマはワン・スリー、赤
のみでアガれる。
説明を受けて始まりの卓へ、そして北家スタート。今日は北に縁があるらしい。2回ツモ番を終えて場を見渡すと、3人がすでに3フーロしている。みんな役無しの仕掛け、それぞれピンズが高い捨牌。
赤
は2枚しかないはずだが、誰かがブラフをかましているのか? それともダブルバックの仕掛けで全員がアガれる形なのか?
当然、ション牌は打てない。ピンズの
と
はもっと打てない。カン
やカン
に打ち込んだら目も当てられない。だが、ノーテン罰符の3千点を払うなら、バック仕掛けに千点を差し込むか……。なんて思っていたら赤5ピンをツモってきた。
ブラフは二人か! もう一度、相手の手役を考えてみると、一人が赤のみ、二人が役牌のバックかと思いながら、ますますション牌は打てなくなる。
すると2枚目の赤
をツモってきた。なんだ、みんなバック仕掛けなのか。そう思いながらション牌を絞る。そして流局。
相手の手牌が見たくて差込せずにノーテンを選択する。が、他の二人もノーテン、唯一テンパイしていた人が形テン。「クソ!やられたぜ」と口ずさむ俺であった。