<注目雀士登場>
魅力あるプロを求めて 多井隆晴インタビュー
―― この度は日本オープン優勝おめでとうございます。東日本大震災さなかの開催でしたが、精神的に不安定な戦いではありませんでしたか?
ありがとうございます。まずはじめにこのたびの震災により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様及びそのご家族の方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
実際今回は、地震で自分の親が仕事先から帰ってこれず、連絡もなかなかつかない状況に陥り、友人や知人も首都圏の混乱に巻き込まれているようで、明日タイトル戦という感じではありませんでした。
ただ、ここ数年は、大きなタイトル戦や決勝の舞台でも特別勝とうとかそういう意識はあまりなく、与えられた場でいい麻雀を打つという事にしか意識がいかなくなりました。それはひとつは、そろそろ自分も伝える側の人間になっていかなければダメなのかなという思いが出てきた事と、もうひとつは勝ちたくなる気持ちを抑えるために、瞬間の勝ちを意識しないよう極力努力した。誰だってベスト16に残れば準決勝に進みたいわけだし、準決勝へいけば決勝にいきたいと強く思う。当たり前なんだけど目の前の対局に意識が行き過ぎるあまり、基本がおろそかになったりフォームが崩れていく。それじゃだめなんですよ。自分の麻雀は今日の舞台に限らず、明日も明後日もずーっと続く分けですから。だったら明日明後日に続く麻雀を打とうと・・・。
――
確かにプロ協会のHPを見ていただければわかるが、多井プロの決勝の麻雀は賛否両論があるくらい大きく構えていた。未来の自分のための麻雀を打つという姿勢がはっきり示されている。
このこと以外に決勝へなにか思いはありましたか?
今回の決勝は、残りの3人がまだタイトルを取ったことがないメンバーだったので、マイペースを貫きつつ、若いプロ達の麻雀を見てみようと思っていた。勝つとか負けるとかそういう意識はまったくなかったですね。
――
さて、それでは普段の多井プロについて聞いてみたいと思うのですが、まず麻雀の勉強はどうしているのでしょうか?
大体家で牌譜みて、研究しています。後は自分と打ちたい若手プロとセットする感じですかね。
――
牌譜をみるといういのは最近では聞かなくなりましたね。具体的に牌譜の研究というのはどういうことをするのでしょうか?
まず牌譜は自分が打った麻雀を中心に、パターンをよく見ます。その時はわかっているつもりで打っても、実は違うことなんていっぱいあるじゃないですか?だから牌譜をみて修正し、傾向というかパターンを覚えていきます。
麻雀の読み≠チて、手牌傾向・進行速度・打点の高さすべてが全部できて初めて読み≠ニいうんですよね。これのひとつでも欠いたら、読み≠カゃない。それで読めてないと、「ベタオリ」か「ゼンツッパ」になっちゃう。それは極力避けたいですからね。
後、自分がスタンダードだと思っている事実も、実は今はぜんぜん違うっていう感覚が最近で始めたので、牌譜を見て整理していく。
――
やっぱり牌譜は麻雀上達のもってこいの素材ですね。私もネット麻雀で自分の牌譜を見ることはありますが、せいぜい展開の確認程度。ここまで牌譜を解析して、麻雀のトレーニングとしているのは多井プロならでしょう。やっぱり周りのプロにくらべて努力しているという自負はありますか?
努力しているというよりは、自分は環境が恵まれていますよね。牌譜みるのも好きですし、麻雀を打つ事はもちろん打つ以外の麻雀の環境に恵まれまれているし好きですしね。
――
多井プロならではのトレーニングは他にありますか?
30歳近くまではいろいろなことにチャレンジしましたよ。これは今もやっているのですが、例えば何も考えず瞑想をするとか。結構大変ですよ。なにも考えないで10分ぐらい瞑想しているのは。
後は体力をつけることは欠かせないですね。肉体的な競技じゃないですけど、長時間座って集中しなきゃないのは結構体力使います。だから腕立て腹筋は毎日50回やってますよ。毎日続けるのは結構大変ですよ。サボりたくなった事も何回かあったし。でも麻雀って結構嫌な事あるじゃないですか?精神的に参るような事。嫌なトレーニングを続けていると、この麻雀のつらい所に耐えられるようになる。体力・精神力両方つくわけですね。
――
なるほど。日々トレーニングして麻雀の研究もしているから結果がついてくるわけですね。正直多井プロは自分でどのくらいの強さでいると思いますか?
う〜ん、麻雀の神様が100だとしたら自分は20か30くらいじゃないですかね。全然ダメですよ。しかし人間が到達できるのもその辺ぐらいだろうし。正直自分のランクにいる打ち手は少ないと思いますね。強いといわれている人達で20点〜30点台競ってる感じでしょうね。結局我々の麻雀は100M10秒台と一緒なんですよね。それでもすごかった時代もある。でもある日10秒を切るプレイヤーが出ると9秒の勝負となる。9秒も後半から前半へそのうち8秒台が出るんじゃないですか?
でも麻雀の場合9秒台だすのは無理でしょうね。なぜなら上を追求するには常に周りに強者がいなければならないし、その強者は自分の想像を超えたものを持っている必要がある。現在の麻雀界をみてそういうものは感じないなぁ。
――
ちょっとそれは悲しい話かもしれませんね。自分のようなメディア側はそういう奇跡的なムーブメントを期待しています。期待しているというより、プロの可能性を信じている。ただ多井プロが現在感じている自分の努力だけでは天井が見えつつあるというのもしょうがない話なのかもしれません。
早く多井プロを倒してくれるプロがどんどん現れるといいですね。
最後にRMU代表としてなにかご意見いただけないでしょうか?
みんなに外で活躍してほしい。プロとして。RMUのプロは勝ち負け重視であまり外でプロとして活躍しようという気が感じられないのでもったいないですね。他の団体にも言えることだと思うのですが、麻雀の強さだけで食っていけるのは無理がある。だから違う部分をもっと考えてほしい。
ただ一方で、はやり結果がでていないプロが強さを求めるのは仕方がないだろう。でもそしたらもっと徹底的に追求していってほしい。
後は、RMUは一番後発の団体なのですが、あまり団体の枠にとらわれず麻雀界全体でファンが喜ぶことをやっていきたいですね。
そうじゃないと本当に競技麻雀終わっちゃうよって感じがする。
フリー雀荘とネット麻雀さえあればいいという世界になってしまう。小さい団体ですがこれだけは避けたい。本当にファンの声に耳を貸して、麻雀界全体でなにかできるようにしたいですね。
――
ありがとうございました。今後ともご活躍お祈りしています!
続きは本誌にて!!