麻雀界えんやこら−麻雀界に生きる男たち

「アルバン」を作った男

プロの地位向上を目指して

―アルバンの設立時の話を聞かせていただけますか?

船越 千幸(以下F):元々僕と代表取締役の新宮と他の2人の4人で立ち上げた会社なんですよ。僕が24歳の時、平成2年に立ち上げました。今年は平成18年だから、今は第17期ですか。

―設立から携わってたんですね。

F:他の2人は別の会社を立ち上げたり、家庭の事情で辞めましたが、今でも卸業務をやってたりして会社の付き合いはあります。設立時のメンバーは2人だけですね。

―アルバンを立ち上げたきっかけみたいなものはあますか?

F:僕個人の事を言えば家が雀荘だったんですよ。西麻布でやってたんですけど。おかげで麻雀との関わりが深くて、3歳くらいで麻雀を覚えました。1度店はたたむんですが、親父がまたやりたいと言い出して今度目白でまた店を開くんです。そこにいたお客に新宮がいたんですね。僕も店に行って、遊んでいる内に仲良くなって。そうしたら新宮がジョイスに入って、僕も誘われて一緒に働き出しました。ジョイスで3年程働いてから今のアルバンを作った訳です。

―アルバンでは船越さんはどのようなお仕事をされてるんですか?

F:僕は宣伝や広報を担当しています。現在は配牌取り出し機能のついてる「アルティマ」の宣伝や販売に力を入れてますね。また、ネット麻雀の「ロン2」や麻雀SNSの「はこパラ」を応援しております。

あと会社として大きな事に関しては全員の意見を取り入れていきたいと思っています。僕と新宮だけで判断する事もありますが、社員全員に利益を与えていきたいと思っているので、大きな物事に関しては全員で会議をしたりしてますよ。

―今後の会社の展開や麻雀業界に対してご意見を聞かせていただけますか?

F:僕個人としての業界に対する意見はプロの地位を向上させていきたいですね。もっと大きな事を言えば麻雀のイメージアップです。

―プロの地位を高める事が業界のイメージアップに繋がると?

F:そうですね。皆が麻雀プロという存在に憧れる。個人的な意見としては上の人間だけがプロと名乗っていって下の人間はもっと別な呼び方をすればいいんじゃないのかと思っています。麻雀のプロを名乗る人間が巷の雀荘で負けちゃダメですよ。少ない回数ならわかりますよ。でも場代を含めてトータルでプラスにならなかったらダメですね。だって平均のレベルより低い訳ですから、そんな人がプロを名乗るなんて言語道断ですよ。

―それではプロの定義としてはまず勝つ事ですか?

F:当然魅せる部分も大事ですよ。女流プロなんかはお店にゲストでよんだらお客さんも増えますし。タレント的な要素も強かったりしますが、その中で実力も周りから認められる人がプロと名乗って欲しい。そういう人が増えていけば、麻雀という競技の底上げにつながると思ってます。麻雀の人口が増えれば、需要が増え、会社の利益に繋がっていきますよね。

パチンコとかは明るい雰囲気になったじゃないですか?いくらでも女性が一人で入っていきますから。あれはいい例としてそういうお店が増えるようにバックアップをしていきたいです。

例えば主要都市のどこに行っても一人で気軽に入っていけるようなお店が一つは出来て欲しい。そういうお店が増える事も底上げに繋がると思います。厳しい事を言うようですが、逆にお客様が一人で入っていって嫌な思いをするような店は潰れていって欲しいです。イメージのいいお店が残って欲しいですね。

そういった底辺での底上げもしつつまたプロの地位向上の話にもどりますけど麻雀プロの年収が一般サラリーマンよりも高くなるシステムを作るべきです。どうしたらプロへの憧れが生まれるのか?それは麻雀の競技をしていく事で、普通に働く以上の収入が得られていかなければなりません。そうなっていくと見る目も厳しくなっていくから、本物じゃないと残っていけないでしょうけど。

麻雀競技のリーグ戦をメディアで流していく、今CSやケーブルテレビでは麻雀の枠がどんどん増えてます。それは何故か?評判がいいからです。お客様からの再放送など要望多いんでしょうね。

出来れば民放で流せたらいいんですけど、麻雀番組ではスポンサーがつかないんです。企業イメージが悪くなってしまう。麻雀がもっと競技として社会的に認められて、本当にアミューズメントの一つとしてとらえられる様になれば企業もスポンサーとしてついてくれるでしょう。絶対に流せば視聴率がとれる。深夜12時くらいでもいいから、毎週定期的に流せたら、毎週観よう、ビデオやDVDに録ろうって人もいますからね。まぁどこから手がけていくのかって事もありますけど、最終的なゴールとしては、麻雀のイメージアップ、業界の底上げです。他にしていきたい事はネット麻雀とアーケード麻雀ですね。

―それはアルバンとしては厳しいんじゃないでしょうか?ネット麻雀が主流になっていくと麻雀卓が売れなくなってしまうのでは?

F:でもネット麻雀って、主流になってきてますよね。僕もネット好きですし。でもゲームで麻雀をやった事のある人の10人に1人でもいいからフリー雀荘に行ってリアルな麻雀をして欲しい。体験して貰って嫌な思いをしなければ、そこには違った面白さがある。ネット麻雀しかしない人にリアルの良さを教えたいです。

だからネット麻雀を敵対視はしてないです。同じ「麻雀」というカテゴリーの中で商売をしている訳ですから。考え方を変えればお客さんを引き込めるかもしれませんし。私自身がネットとリアルの両方をやっていて、どちらにも良さがあるんですね。だからリアルの良さも体感してもらいたい。

全自動卓の次のスタンダードを狙う

―相乗効果を狙っているわけなんでしょうか?

F:何故私達が配牌自動式に力を入れたのかってのはそこなんですよ。ゲームから麻雀に入った人が最初にどう思うのか、まず覚える事が多い。サイコロ振って、取り出しを数えて、山を前にだしたり、マナーだなんだと。そんな事をネットで覚えた人がフリー雀荘に行ってすぐ出来るのか?どんなに麻雀が強い人でもそっちに神経が行ってしまって、麻雀にならないですよ。そういった負担を少しでも軽減できればと思って「アルティマ」を作ったんですよ。

会社としては、現在出している「アルティマ」の値段ってのは正直一杯一杯で卸してます。なんでかというと配牌自動式を多く導入して貰って、普通の形にしたいんです。これから麻雀をやる人達が垣根が低くなるじゃないですか。微々たる事なんですけど、覚える事が少なくて済むので少しは楽になるし、神経を使わなくていい。それだけ麻雀に集中できるので。初心者の方でも麻雀の楽しさを実感できるんじゃないのかな。

配牌まで全自動のUltima
配牌まで全自動の『ultima』。ドラもめくれた状態で上がってくる。

―そこに注目するのは麻雀のサービス業者ならではの視点ですよね。麻雀の競技者からは、なかなか気づけない事だと思います。

F:麻雀を楽しむまでに、時間がかかり過ぎるから入りづらくしてしまってるんです。フリー雀荘って楽しい所なんです。まだ行った事のない人たちが、楽しさを覚えてくれたらもっともっと麻雀人口って増えますよ。ネットやアーケードであれだけ人がたくさんいて、何故フリー雀荘に人がいないのか?っていうのはやっぱりそこだと思うんですよね。入りづらいっていうのと、入った時に嫌な思いをして帰ってしまう。慣れないと切り出しも遅いですし。本人に悪気がある訳じゃなく、一杯一杯になってしまうだけなんですよ。

お店にお願いをしたいのは、初心者のお客様がいたらつきっきりで教えてあげる。サービス業として、本当はそこまでしないといけないんじゃないかなと。点数がわかり辛いというのも今後考えていかなければならない。そうして楽しさがわかれば麻雀人口が増えます。ピラミッドの底辺が広がれば頂点も高くなりますよね。

―次の質問が麻雀の健全化についてという事だったんですけど経営方針がもう麻雀の健全化というスタイルですね?

F:とにかく入りやすいお店。初心者に優しいお店づくり。初心者が楽しんで常連さんに育っていってくれるようなお店が増えて欲しいですね。今の点5レートというのは普通に考えて遊びの範囲内だと思ってます。
普通に働いている社会人であれば、ちょっとした遊びの中ですんでしまう。パチンコやスロットにくらべたら全然金額も安くてすむ。僕らやお店が考えていかなければならない事は、そういった真っ白なお客さんにどうやって楽しさを教えていくのか。

まずは一人で雀荘に入れるようにするのかという事ですね。最近の雀荘は、ファッションビルみたいな、ガラス張りのビルにお店を構えてますよ。そういう所ってお客様がやっぱり入りやすいんですよね。地下や雑居ビルにお店があるより、格段に違うんですよ。


そういう中でも麻雀という商売は風営法の中のモノじゃないですか?風営法についてはどう思われてますか?

F:僕は賭け事として麻雀を捉えた場合、風営法は外せないんじゃないのかなと思ってます。本当は外せたら一番いいんですけどね。もしそうなったら、24時間営業を認めて欲しい。あと免許制度みたいな形にして欲しいですね。管理者講習等をして健全な形でやっていってもらいたい。そうすると大手を振って宣伝できる。現状はグレーゾーンがありますから。

―あまり今までに聞いた事がない意見です。

F:風営法って、お店の営業時間が夜の1時に終了して開始が夜明けからってなってるんですよ。何ですか夜明けって?余りにも曖昧すぎます。なんで1時から夜明けの間だけお店をしてはいけないのか?夏だったら夜明けまでは3、4時間でしょ。そこを1番に変えていきたいです。麻雀組合とかがやらなきゃいけないのもそこだと思ってるんですけど。

―組合も多くて意見がまとまりづらいですからね。

F:今の組合にこの業界に情熱をもっている人がいるのかっていうと、疑問もあります。何も思いを持たないなら辞めてくださいと、組合の意味が無いと思います。集まりに呼ばれて挨拶をする時など、僕はアルバンの看板を背負ってますけど、言いますよ。

そこまでしないとこの業界良くならないですよ。店舗数を増やしていってるところは同じような考えを持ってる方がいます。もっと業界をよくしていこうという人が立ち上がらないとダメです。実際に営業をしてない人が役員にいるようではちょっと。

フリー雀荘が出来たから、うちの店が悪くなったんだ、料金が安くなったからお客様が減ったんだじゃないでしょ。お店側が営業努力をしていれば、防げる事だと思ってます。お客様はよっぽどの事がなければ行きつけの麻雀店はそうそう変えませんよ。僕は値下げには反対なんですけど、料金とサービスに満足していればその値段は払ってくれるはずです。お店に対してはついつい辛口になってしまいますけど。

―最後になりますが今後麻雀界に望むことはありますか?

F:もう何度も言っている事ですけど。大きく言うとイメージアップですよね。麻雀の業界の底上げ、その為の麻雀プロの地位向上。

プロ団体に関して言えば、私としてはそれぞれのトップにいる人、Aリーグにいる人だけにプロと名乗ってもらいたい。それ以外の人は準会員や奨励会員みたいな別の呼び方で。現状のままで行くとプロの看板や品位が落ちちゃいますよ。各団体とも末端の会員も増やさないといけないから、難しい所ではないかと思いますが。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

F:こちらこそわざわざお越しいただいてありがとうございます。

取材後記

確固たる信念があるから仕事をやれる。麻雀業界のイメージアップをしていきたいと熱く語る船越さんからは、麻雀に対する愛情が感じ取れました。これだけの熱意と愛情を注ぐ人が増えていけば、必ず麻雀に対する世間の目も変わっていくはずです。筆者の個人的な願いも込めて、船越さんの夢が是非実現して欲しいです。

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